「ジェンティッシマ」コレクション4作目となる「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」だ。

「デザインと個性の差別化」が最優先された「ジェンティッシマ」コレクションの最新作は、美の追求に対する絶え間ない努力の結晶であり、ジェラルド・ジェンタ氏の直感的かつクリエイティブな才能と美しい宝石に対する慧眼にオマージュを捧げた「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」だ。ファイアーオパールは、メキシコ全土の火山の地下深くから産出され、溶岩の中に水が閉じ込められることで独特なイエローやオレンジ、またはレッドの色素が生まれる。

ジェラルド・ジェンタ最新作「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」
復活後、時計市場で大きな注目を集めているジェラルド・ジェンタ。「ジェンティッシマ」コレクション4作目となる最新モデルをLVMH ウォッチ ウィーク2025で発表した。「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」である。

ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール」 Ref.DBBE01A1
ブルガリスーパーコピー時計 代引き自動巻き(Cal.GG005/再設計されたローターを装備したゼニス エリート)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KYGケース(直径36.5mm、厚さ9.64mm)。30m防水。価格未定。
本作はデザインと創造性でウォッチメイキングの伝統の枠を押し広げるジェラルド・ジェンタ・ラボが直々に手掛けたものだ。このリミテッドエディションの18Kイエローゴールド製のケースの周りには、個別にネジ止めされた“ファイアーオパール”が並んでいる。

ファイアー オパール、この複雑な宝石は、地質学者を何世紀もの間、困惑させてきた特殊な化学組成からなるものだ。この石の魅惑的なオレンジの色調や創造性や自信を高めるシンボルとしてのその意味合いが、ジェラルド・ジェンタのアーティスティック・ディレクター、マチュー・エジにインスピレーションをもたらした。「このクリエーションを通じて、「ジェンティッシマ ウルサン」のクリエイティブコンセプトの境界を押し広げ、稀少な宝石をまとったアイテムを提供するとともに、有機的な色や美しい宝石、そして美に対するジェンタ氏の情熱に敬意を表した」とエジは説明している。

受け継がれる「ウルサン」のデザインのレガシー
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
コレクションの中で最も華やかなモデルであり、ファイアーオパールの暖かな色調を反映するオレンジのカーネリアン製のダイアルを配した「ジェンティッシマ ウルサン ファイアーオパール」。ジェラルドの妻であるエヴリン・ジェンタにとって、「ウルサン」は今日に至るまで、お気に入りのデザインのひとつだ。「『ウルサン』は、ジェラルドが最も誇りに思っていた数少ないクリエーションのひとつ。実際、彼はそれをほとんど売りたがらず、親しい友人や顧客のためだけにごく少量しか製作しなかった」と語っている。
「ウルサン」の物語は、1994年にジェンタ一家がバカンスに訪れたコルシカ島からはじまった。フランス語でウニを意味する「ウルサン」。その姿に魅了されたジェラルドはいつものように、その場で直感的に最初のデザインのスケッチを描き下ろした。棘のある球状の外観はビーズで飾られた丸いケースフォルムとなり、本コレクションのすべてのバリエーションにおいて、モデルへ特有の魅力を与えている。

そして 30年後、ウルサンはメゾン ジェラルド・ジェンタにとって奥深さに満ちた新章を切り開いた。コレクションの4作目は、ジェンタ氏ならではのユニークな美的感覚とシンボルとしての意味を持つパワフルな宝石への魅力をさらに探求している。

鮮やかな美学を通してジェンタを表現
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
オリジナルのデザイナーの直感的でクリエイティブなアプローチを受け継ぎ、感覚的にデザインされた新作ウルサン ファイアーオパール。この石は、芸術家や音楽家、そして創造性への刺激を求める人々と歴史的に結び付いており、予期せぬものをアートへと昇華させることを象徴している。ジェンタ氏ならではのデザイン原則は、現代的なひねりを加えられながらも至るところに見出すことができよう。ダイアルはオレンジのカーネリアン製で、ジェンタ氏のシグネチャーのフォルムであるファセットカットを施したクリスタルも、ケースのわずかに八角形を帯びた内側の縁にあしらわれている。

直径約36mmの18Kイエローゴールド製ケースには、ガラスブラスト仕上げが施され、同じく18Kイエローゴールド製のピンで個別にひとつずつケースにネジ止めされた 137個のファイアーオパールの輝きとコントラストをなしている。

ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンのマスターウォッチメーカー ミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニは、「デザインを引き立たせるため、ディテールに至るまで細心の注意を払ってこの製品を作り上げた。自動巻き『ゼニスエリート』ムーブメントのために、18Kイエローゴールド製の専用ローターを設計した」と語っている。

ミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニ

注目すべきディテール
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール
ジェンティッシマ ウルサン ファイアー オパール

ジェラルド・ジェンタについて
1969年に設立されたジェラルド・ジェンタ ブランドは、マエストロのジェラルド・ジェンタによる、特別な顧客のための特別な腕時計を製作するという明確なミッションの下、自身のハイウォッチメイキングのビジョンを具現化してきた。1973年に発表した初作を皮切りに、ジェラルド・ジェンタは、円形と直線的な幾何学的形状の相互作用を前提とした型破りな美的アイデンティティを確立。1981年には自身初の超薄型のミニッツリピーターモデル、1994年には当時最も精巧な腕時計であったグランドソヌリを発表し、独立系ウォッチメイキングにおける初期のパイオニアのひとりとして尊敬を集めた。

特にグランドソヌリには、5年にもおよぶ研究開発を必要とした。ウィットと奇抜さを決して恐れないジェラルド・ジェンタは、1984年以降、ディズニーのアニメキャラクターをハイウォッチメイキングの複雑機構と大胆に組み合わせた。これは、当時のウォッチメイキング業界を抜本的に変化させる新たな方向性だった。そして現在、ジェラルド・ジェンタ ブランドは、ともにジェンタと協業したミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニの監修の下、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」の支援を得て復活を果たした。

ブランドは、ハイウォッチメイキングの複雑機構を想像力に富んだ時計作品へと再解釈するという、ジェンタの DNA と妥協のないアプローチを復活させることに焦点を当てている。

シチズンから新生“フジツボダイバー”として「プロマスター メカニカル ダイバー 200m」が登場した。

シチズンは安易な真似はしない。そのディテールはひとひねりを加えた「見るべき」特徴を備えているのだ。シチズンのダイバーズウォッチの歴史と共に、この腕時計に施されたディテールに迫ろう。なおこの記事は、アメリカの時計専門ウェブメディア『watchtime.net』に掲載された記事の翻訳版だ。

2022年、“フジツボダイバー”復活
 1983年、シチズンの「チャレンジダイバー」がオーストラリアのビーチで見つかった。太平洋の海中に数年浸かっていたため、この日本製のダイバーズウォッチは多数のフジツボに覆われていた。にもかかわらず、すぐに再稼働し始め“フジツボダイバー”のニックネームが付いた。2022年に発表されたシチズンの「プロマスター メカニカル ダイバー 200m」は、チャレンジダイバーのデザインを継承したモデルである。

フジツボダイバー
オーストラリアで発見されたシチズンの「チャレンジダイバー」。フジツボなどの生物がびっしりと付いていても動いていたことから、“フジツボダイバー”のニックネームが付いた。

シチズンのダイバーズウォッチを振り返る
 1982年、シチズンは水深1300mの防水性能を誇る「プロフェッショナルダイバー」を発表。この腕時計のケース素材はチタンという、今までのダイバーズウォッチでは用いられなかった素材を採用したのである。1980年代初頭は、シチズンのダイバーズウォッチが時計業界で独自の地位を築きはじめた時代であった。

シチズン デプスメーター
シチズン「デプスメーター」
国外では「アクアランド」。「プロマスター」コレクションが発足してからは「プロマスター アクアランド」となった。クォーツ(Cal.C020)。200m潜水用防水。終売モデル。
 その例を見ていこう。1985年に発表された「デプスメーター」は、ウブロスーパーコピー 激安9時位置に電子エレクトロニクス水深計を取り付けたモデルだ。1989年に「プロマスター」コレクションが誕生。コレクションに含まれる「プロマスター 1000m」からデザインは、以前にも増して洗練されるようになった。このモデルには、“オートジラ”という愛称が付けられている。

 なお、その進化系である「プロマスター エコ・ドライブ プロフェッショナルダイバー1000m」は2017年に登場。そのプロトタイプはしんかい6500という深海調査用の潜水調査船にくくり付けられ、水深1000mよりも奥深くへと潜ったのである。

シチズン プロマスター エコ・ドライブ プロフェッショナルダイバー1000m
シチズン「プロマスター エコ・ドライブ プロフェッショナルダイバー1000m」Ref.BN7020-09E
光発電エコ・ドライブ(Cal.J210)。フル充電時約1.5年駆動。スーパーチタニウムケース(直径52.5mm、厚さ22.2mm)。1000m飽和潜水用防水。33万円(税込み)。
 続けて近年のダイバーズウォッチに目を向けよう。2006年に発表された「プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」は、オルカ(シャチの英語名)の愛称で親しまれている腕時計である。機能的なダイバーズウォッチであっても、デザイン的に最先端かつユニークな外観のモデルが可能であることを証明した。

プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m
シチズン「プロマスター エコ・ドライブ ダイバー200m」Ref.BN0230-04E
2023年に「日本上陸」を果たしたモデルのうちのひとつだ。オリジナルの“オルカ”のケースはチタン製だが、このモデルのケースはステンレススティール製だ。光発電エコ・ドライブ(cal.E168)。月差±15秒。SSケース(直径46mm、厚さ14.6mm)。200m潜⽔⽤防水。6万6000円(税込み)。
 シチズンのダイバーズウォッチに多く見受けられる特徴をまとめよう。まずは光発電エコ・ドライブを搭載。そして、モダンなデザイン。最後にチタンケースの採用だ。シチズンは世界で初めて腕時計のケースにチタンを用いたブランドである。1970年代に登場した「エックスエイト クロノメーター」がそれだ。シチズンのダイバーズウォッチにチタンが多く採用されている理由は、その系譜を引いているからではないだろうか。

エックスエイト クロノメーター
シチズン「エックスエイト クロノメーター」
電子式(Cal.0800)。終売モデル。
 上記の特徴から外れたダイバーズウォッチもシチズンは製造していた。そのひとつの例が8時位置にリュウズが配された“フグ”という愛称のモデルである。なお、フグとは日本語の「フグ」のことだ。この腕時計は1993年に登場し、伝説となったモデルである。

新生“フジツボダイバー”誕生
 そして2022年、シチズンはプロマスター メカニカル ダイバー 200m(ブラック文字盤Ref.NB6021-17E、ブルー文字盤Ref.NB6021-68L)を投入。現代版“フジツボダイバー”が誕生した。シチズンはここ50年ほどの中で抑えの効いたオーソドックスなデザインを復活させ、さらにCal.9051という現代的な機械式ムーブメントを採用。ステンレススティールよりも傷への耐性があり、40%も軽量なシチズン独自の宇宙時代に対応した素材、スーパーチタニウムが採用されたモデルだ。

シチズン「プロマスター メカニカル ダイバー 200m」Ref.NB6021-17E
自動巻き(cal.9051)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。スーパーチタニウムケース(直径41mm、厚さ12.3mm)。200m潜水用防水。11万5500円(税込み)。
 Cal.9051は日差が−10/+20秒の間に調整されたものであり、テンプや周辺のパーツに磁気帯びしづらい部品を用いることで、耐磁性を強化している。シチズンの発表によれば、1万6000A/Mの磁場を発する機器から1cmほどの位置に置いたとしても、このムーブメントはパフォーマンスを落とすことなく稼働するのだそうだ。日常的に使用するスマートフォンはもちろん、船上で電子コンパスと合わせての使用も可能である。

NB6021-68L
シチズン「プロマスター メカニカル ダイバー 200m」Ref.NB6021-68L
自動巻き(cal.9051)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。スーパーチタニウムケース(直径41mm、厚さ12.3mm)。200m潜水用防水。14万3000円(税込み)。
 プロマスター メカニカル ダイバー 200mはISO基準に準拠したダイバーズウォッチであることを付け加えておこう。これは冗談なのだが、既存のどのモデルよりもフジツボ耐性も高いのではないだろうか。

シンプルに見えて凝ったディテール
 チャレンジダイバーが発売された1960年代〜1970年代には、シチズンは腕時計の「デザインを洗練させる」という方向性を打ち出していなかったように思われる。その外観は、シンプルなケースにメルセデス針と大振りなインデックス、ブラックカラーのベゼルを組み合わせた一般的なものだった。

ケース側面

この腕時計を側面から見ると、ケースのヘアライン仕上げ、ベゼルのポリッシュ仕上げの違いがよく分かる。
 本作はシンプルかつ一般的なデザインの腕時計という印象を覚えるかもしれない。だが、よくよく観察してみると、特徴的なラグ、ポリッシュ仕上げが施されたベゼルなど、通常のダイバーズウォッチとは異なる、興味深いディテールが発見できるはずだ。

 また、本作はオリジナルを忠実に再現した印象を受ける。ベゼルはアルミニウムがインサートされたもので、でやや大きな数字が配されたものだ。ケースはオリジナルでは150m防水だったものが、200m防水に高められている。なお、ケースの厚さは12.3mmと薄めである。ベゼルはポリッシュ仕上げであり、ケースはヘアライン仕上げだ。

サファイアクリスタル製の風防側面には面取りが施されており、「厚み」を感じることができる。
 サファイアクリスタル製風防の形状を見てみよう。上部はフラットだが、内側はドーム状にカットされている。そしてその角は大々的に面取りされているため、厚みのあるレトロな印象を与える外観なのだ。

 これらの要素が適切に組み合わさり、他のダイバーズウォッチとは異なる、特別な価値を持つ腕時計となったのだ。そして、厚く出っ張ったインデックス、ロリポップ秒針、部分的にスケルトン仕様の時針は、驚くほど上手くこの腕時計の中で調和している。

単にシンプルだが質実剛健な裏蓋

シンプルな裏蓋。トランスパレント仕様というわけではない。
 なお、裏蓋とバックルはどちらも比較的シンプルな構造だ。この価格帯の腕時計ならば、プラスチック製のムーブメントホルダーが採用されるのは当然だろう。これを採用することは、重量を抑えることにもつながるのである。

『watchtime.net』にて撮影。裏蓋を開けるとCal.9051ムーブメントをのぞくことができる。ムーブメントの周囲には、プラスチック製のムーブメントホルダーが配されている。
ストラップだけは改善の余地あり
 ただし、ストラップに限っては、本作全体の雰囲気から、浮いた印象を覚えてしまうのはいただけない。とはいえ、このストラップの着け心地は快適である。トロピック仕様のストラップや、質感の良いNATOストラップといったオプションを選べば、抑えめデザインを採用したこの腕時計のよいアクセントとなるだろう。

結論:じっくり見ると、その良さの分かる腕時計
 ストラップだけが気になるところではあるが、それを除けば復活した“フジツボダイバー”は非常に良い出来なのである。ブラック文字盤のRef.NB6021-17Eの定価は11万5500円(税込み)だ。自らのコレクションにCal.9051を加えたいという人には、魅力的な予算感であろう。

 伝統のチタン製ケースとシチズンのダイバーズウォッチの歴史に裏付けられた“フジツボダイバー”は、デザイン、フォルム、スペックを考えると、この価格帯では非常に魅力的な腕時計だ。確かに光るものを持つ腕時計ではあるが、その良さはすぐには見えてこない。この腕時計の真価を見出すには、よく観察する必要があることを付け加えておく。

タイメックスの「Timex 80 グローインザダーク」を実機レビュー。

マニア垂涎の逸品が復刻

今回インプレッションを行うのは、タイメックスの新作、「Timex 80 グローインザダーク」。本作は、2011年に発売されたタイメックス製デジタルウォッチの復刻モデルである。パッと見た印象は、オールホワイトのカラーリングが爽やかな、樹脂製のスクエア型ケースを採用したスタンダードなデジタルウォッチ。しかし、暗闇の中に持ち込むとその印象は一変する。ケースとストラップに蓄光素材を採用しているため、全体がぼんやりと光を放つのだ。

タイメックス デジタル

タイメックス「Timex 80 グローインザダーク」Ref.tx-tw2y02600
ホワイトのケースと半透明なストラップが爽やかなデジタルウォッチ。外装に蓄光素材を採用していることが特徴だが、もちろん明るい場所でも魅力的だ。クォーツ。樹脂ケース(直径34mm、厚さ9mm)。30m防水。1万3750円(税込み)。
 2011年のオリジナル発売時は、日本国内にわずかな本数が入荷し、瞬く間に完売してしまったという。その後もファンからの根強いリクエストがあったのだろうか。2025年、日本だけの数量限定として復刻されたのである。当時を知る人にとってはもちろん、そうでなくても、蓄光樹脂製の外装は目を引くポイントである。幻の存在として語り継がれてきた、グローインザダークをレビューする。

蓄光樹脂製ケースが妖しく光る
 本作のベースとなっているのは、タイメックスを代表するデジタルウォッチ、「Timex 80(タイメックス エイティ)」だ。その特徴である、1980年代に普及したデジタルウォッチの意匠を取り入れたデザインは、グローインザダークにも引き継がれている。

 ベゼルが一体となったミドルケースは蓄光樹脂製。真っ白ではなく、やや黄色っぽさを感じるアイボリー、リシャールミル スーパーコピー代引きまたは乳白色のような色味だ。スクエア型ケースは、幅34mmと小ぶりなサイズ感。3時側と9時側のサイドにはそれぞれふたつずつ、金属製のプッシュボタンが備わっている。ベゼルはケースの形状に合わせた変則的な八角形であり、アクリル製の風防を保護している。

タイメックス デジタル

ベゼルと一体成型されたミドルケースは、レトロなスクエア型。サイドには金属製のプッシュボタンが備わっている。
 ケースバックは、ステンレススティール製だ。中央にはブランドロゴ、その周囲には、防水性能や使用している電池種別を表す文字が刻まれている。ケースバック自体は4つのネジによってミドルケースに固定されており、この構造によって30m防水が確保されている。ネジ溝はプラスやマイナスではなくY型。知識や技術のないユーザーが開けることを防ぐため、特殊な形状としているのだろうか。不用意に開けようとすると、ネジをなめてしまうことや、パッキンやムーブメントを損傷させてしまうことにもなりかねない。電池交換の際には、面倒でもプロに依頼すべきだろう。

タイメックス デジタル

ケースバックはステンレススティール製。4つのネジによってミドルケースに固定されている。
 せっかくの蓄光樹脂製ケースなので、十分に光に当てた後、暗闇に持ち込んでみる。発光する様子は、目に優しくぼんやりとしており、ずっと眺めていられるほどだ。実用面でのメリットは、暗い部屋の中でどこに時計を置いたかがすぐに分かるようになるくらいだろう。しかし、ただ外装が光っているだけで不思議と湧き起こってくるワクワク感は、それ以上の価値を提供してくれる。

タイメックス デジタル

暗所ではライトグリーン色に発光する。写真では分かりにくいが、ケースだけではなくストラップも光る。

通気性に優れる樹脂製ストラップ
 ストラップも蓄光樹脂製だ。ケースに比べると薄いため、半透明で裏側が透けて見える。本作は見た目に軽やかな印象があるが、それは恐らくこの半透明のストラップによるものだろう。ラグ幅は18mm。バネ棒によってケースに固定されているため、サードパーティー製に付け替えることは可能だが、純正以上に相性の良いストラップはそうそう見つからないだろう。むしろ、本作のストラップを別のモデルに装着する方が楽しみの幅に広がりが出るかもしれない。

 ストラップはケース側に蛇腹状のうねりを持たせ、裏面の中腹から先端に向けて、細かな溝を設けている。恐らく、装着時に肌への密着を防ぎ、通気性を確保することによって装着感を高める意図だろう。また、多少きつめに装着していた際、不意に引っ張られるようなことがあったとしても、多少の衝撃であれば蛇腹部分が吸収してくれるはずだ。遊環はひとつ備わり、ステンレススティール製のピンバックルが装着されている。ツク棒を通す穴は9個設けられているため、幅広い手首回りに合わせることが可能だ。

タイメックス デジタル

ケースは薄く軽量なため着用しやすい。ストラップには蛇腹状の部分があり、通気性が確保されている。
タイメックス デジタル

ピンバックルで固定するシンプルなストラップ。6時側には9個の穴が設けられているため、サイズ調整の幅が大きく、パートナーとのシェアウォッチとしても使いやすい。

やや黄色みを帯びたレトロな液晶
 スクエア型の液晶ディスプレイに目を移してみる。表示は至ってシンプルであり、説明がなくても容易に読み取りが可能だ。液晶の上部には月と日、その下に小さく曜日、さらに下部には大きく時分秒が表示されている。明解なレイアウトは、瞬時の判読性の良さにつながる。

 本作には通常の時刻表示の他、アラームとクロノグラフ機能が備わっている。8時位置のプッシュボタンを押下するごとに、時刻表示の画面から、アラーム、クロノグラフとモードを変更することが可能だ。アラームの画面では、10時位置のプッシュボタンでアラーム時刻の設定を、2時位置のプッシュボタンでアラームのオンオフを切り替えることができる。クロノグラフモードでは、2時位置のプッシュボタンがスタートとストップ、4時位置がスプリットとリセットをつかさどる。各プッシュボタンの機能は液晶を囲む枠に記載されているため、説明書に頼らずとも迷わず操作することが可能だ。

 時刻表示またはアラームの画面では、4時位置のプッシュボタンを押下することによって、インディグロナイトライトを起動することができる。押している間、液晶が発光し、暗所での視認性を高めてくれる優れものだ。アナログウォッチでは、針やインデックスがわずかな光を拾うことで、あるいは蓄光塗料を塗布することで暗所での視認性が保たれる場合がある。しかし、物理的な針などを持たない液晶表示のデジタルウォッチでは、そのようなことは望めない。こうしたバックライト機能は、本作のような時計にとって必須と言えるだろう。

装着感は良好
 軽量な樹脂製ケースであることと、幅34mmという小ぶりなサイズであることからも想像できるように、装着感は非常に良い。薄くしなやかな樹脂製のストラップも、着用時の快適さに貢献している。長時間着用していると、手首に着けていることを忘れてしまうほどだ。オールホワイトのカラーリングが見た目にも軽やかで、これからの季節、手元を爽やかに飾ってくれることだろう。

タイメックス デジタル

袖口にもしっかりと収まる。ちなみにこの状態で暗闇に持ち込むと、3時側半分のみ発光する。
 ただひとつ、使用していて気になるポイントがある。それは液晶の視認性の悪さだ。一般的なデジタルウォッチでは、白地に黒文字の液晶が搭載されている。その白と黒とのコントラストによって視認性を確保しているのだ。本作も白地に黒文字と言えるのだろうが、白というよりは黄色に近く、かつ液晶そのものの輝度があまり高くない。屋外などの明るい場所では不自由ないが、少しだけ暗い室内などでは、時刻を読み取ることに少々苦労する。インディグロナイトライトを起動すれば良いかとプッシュボタンを押すものの、そこまでライトが強くないため、やはり少し見にくい。ライトは暗闇の中ではしっかりと発光するが、半端な暗さの中では期待したほどの効果はないようだ。

懐かしくも新鮮な、遊び心にあふれた1本
 スタンダードなデザインのデジタルウォッチに、蓄光樹脂製ケースで強烈な個性を与えた本作は、いわゆる高級時計とは違ったベクトルの魅力的な時計であった。角が丸く、成型時のパーティングラインが浮かんだケースには、価格相応と言うべきか、お世辞にも高級感はなく、少し黄色がかった液晶は視認性の面で実用的とは言えない。しかし、それらがもたらす、程よく力の抜けた気軽さは、本作のような時計でしか味わうことのできないものだ。Timex 80は、1980年代のデジタルウォッチにオマージュを捧げるコレクションである。筆者は当時の製品を見てきたわけではないが、多少粗削りな部分があった方が“リアル”ではないかと思う。

 また、暗闇でケースとストラップが発光する様子や透けたストラップは、筆者に懐かしさを感じさせた。筆者が子供の頃、スケルトンや蓄光の玩具が流行していたのだ。本作を見て、幼い頃の子供部屋に散乱した、内部の基板が見えるスケルトンのゲーム機や蓄光樹脂で作られた怪獣のフィギュアが、ふと思い起こされた。透けていたり、光ったりすることに実用的な意味はない。しかし、そうあることでもたらされるワクワク感は、確実に存在する。

 今回レビューしたTimex 80 グローインザダークは、日本からのリクエストによって、日本だけで復刻されたモデルだ。そう考えると、本作は日本人の感性のどこかに響く存在なのだろう。手にしてみれば、今は忘れてしまった、しかし大切にしていた思い出に再会できるかもしれない。

ロレックスが、ディープシー Ref.136668LB、フルゴールド(一部はブルー)モデルを発表!

我々は皆、オイスターフレックスブレスレットの新型サブマリーナーが発表されるとばかり思い込んでいた。しかし、そうではなかった。代わりに我々が目にしたのは、ブルーとゴールドをサブマリーナーの型を受け継いだ、まったく新しい金無垢のディープシーである。ただ、この時計はより大きく、大胆で、ずっと深く潜ることができるのだ。44mmというサイズ感は、ゴールドのダイビングツールとしてはかなり頑丈な部類に入る。しかし、水面下にはもうひとつの隠れた機能がある。

Rolex
リングロックシステムとコンプレッションリングはセラミック製で、ダイヤルと色調を合わせた特徴的な曲線は、ロレックススーパーコピー 代引き専門店先代と比較すると控えめな印象を受ける。また、ダイヤル上の表記は、ケースの輝くイエローゴールドと対照的な渋みを帯びた色調だ。

重量のある時計に軽さをプラスしてくれるのが、RLXチタン製の裏蓋である。私としては、今日のW&Wのあと、手首にこの重さと大きさを感じる瞬間が待ちきれない。

我々の考え
文字どおり…これは大きい。44mm径の純然たるロレックスのディープダイバーズウォッチなのである。18KYG無垢製で、裏蓋はもちろんチタン製。一体私や読者の目にはどう映るのだろうか? 実物を見てみないと何とも言えないが、見た目は気に入っている。このような時計が必要なのかどうかはわからない。しかし、それを言っては時計なんて本当に必要なものだろうか?

私にとっては、ロレックスがコンビのエクスプローラーやシードゥエラーを発表したのに匹敵する大ニュースだ。その上、金無垢サブマリーナーはヴィンテージとモダンにかかわらず、ブルーとブラックの両方とも、最も愛されている貴重なロレックスのスポーツモデルのひとつである。ただこれはステロイド剤のようなもので、44mmはロレックスだと(ほぼ)最大の時計である。しかし、YGの重厚さが加われば、これはロレックスがつくる最大の時計と呼んでもいいかもしれない。

Rolex
ザ・クラウン(ロレックス)が何か新しいものを発表するとき、私はいつもディープシーにRLX(チタン)の裏蓋を採用した2022年のように、小さなディテールに注意を払う。今年、我々は同じケースバックを目撃することとなった。これはゴールドにはやや目障りではあるが、間違いなく必要な機能なのだ。それだけでなく、リングロックシステムとコンプレッションリングも刷新された。新しいセラミック構造により、視覚的な違和感が少なくなり、全体的にまとまりのある外観に仕上がっている。

しかし、上述したとおり、この時計は実物を見てみないことには分からない。続報を乞うご期待。

基本情報
ブランド: ロレックス(Rolex)
モデル名: ロレックス ディープシーゴールド(Rolex Deepsea Gold)
型番: 136668LB

直径: 44mm
ケース素材: 18Kイエローゴールド
文字盤: ブルー
インデックス: アプライド
夜光: あり、クロマライト
防水性能: 3900m
ストラップ/ブレスレット: 18Kイエローゴールド製ブレスレット

Rolex
ムーブメント情報
キャリバー: 3235
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示
パワーリザーブ: 約70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
クロノメーター: あり

価格 & 発売時期
価格: 751万800円(税込)

パテック フィリップ アクアノート 5164Gの実機レビュー

ほとんどの人は、どれだけ手が届かないものであっても、いつかは手に入れようと心に決めている時計があるはずだ。私にとっての長年の憧れは、パテックのRef.5164であった。同僚のジェームズ・ステイシーと同じく、私も多機能なGMTが大好きで、アクアノートはその王者だと思っている。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
Ref.5164Aのディスコンについて書いたとき、私はそれを“愛好家に人気”と呼んだ。パテックフィリップスーパーコピー 代引き4万ドル(日本円で約618万円)以上もして、パテックのVIP以外はほとんど手に入らなかった時計に対して少し言いすぎかもしれないが、つけているのを想像するだけで素晴らしく、幸運にも本当に所有することができればさらに素晴らしい時計であるのは確かだ。クールなデザイン、快適なストラップ、スポーティな仕様(防水性からスティールケースまで)、黒のカラーリングなど、すべてが“クワイエットラグジュアリー”が流行する以前からクワイエットラグジュアリーの最高峰だった。

アクアノート・トラベルタイムにはエレガントさがあり、それは新しいRef.5164Gでも変わらない。私は旅行に行くとき必ずと言っていいほどロレックスのGMTマスターIIを使っているが、ケースの左側にあるプッシャーを使用する触感の魅力は格別である。新しいタイムゾーンを設定するには“フライヤー”GMTを使うのが比較的簡単だが(リューズを緩めて適当な位置まで引き出し、時を進めるか戻す)、5164のプッシャーを使用する感覚に匹敵するものはない。上のプッシャーはクリックごとに時針を1時間進め、下のプッシャーは時を戻す。いずれにせよスケルトナイズさせた時針で目立たせないようにしつつ、ホームタイムを指し示し続ける。またふたつの開口部はホームタイムとローカルタイムゾーンの昼夜を追跡(青が夜、白が昼)し、6時位置のインダイヤルでは日付を表示するなど、これは左右対称の美しい時計である。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
このタイプのデザインはパテックにおいて長い歴史があり、1960年代初頭のカラトラバ・トラベルタイム Ref.2597にまでさかのぼる。ジェームズ・ステイシーが2019年に執筆した5164RのHands-On記事で述べていたように、2597のムーブメントは、ワールドタイム機能の父と呼ばれるルイ・コティエ(Louis Cottier)の発想から生まれたものである。つまりRef.5164は、創造性という重要な系譜を受け継いでいると言える。しかし、アクアノート・トラベルタイムの大胆なデザインとスポーティさは、おそらくコティエが想像していたものをはるかに超えている。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
Ref.5164Aはもう入手できないが、パテックがこのロングランリファレンスを貴金属製の新バージョンで継続することは、ある程度予想できた。ただ私はパテックが新しいアクアノート・トラベルタイムを発表して、それをSS製の新リファレンスで提供してくれることを望んでいた。もしそれが発表されていたら、今年のように閑散としたWatches & Wondersでは最大のリリースとなる可能性が高かった。ただ、いまのところSS製のスポーツモデルを避けるというブランドの決定に沿ったものではなかっただろう。

またアクアノート・トラベルタイムのRef.5164がローズゴールド製でカタログに残っているため、2世代の時計がカタログに同時に掲載されることは考えにくかった。新しく再導入されたホワイトゴールドバージョンは(RGと)同じCal.26-330 S C FUSムーブメントを採用しているため、主にケース素材と文字盤/ストラップの色が変更されただけである。しかし手首への装着感も変わってくる。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
アクアノート・トラベルタイムは、市場で最もつけ心地のいいスポーツウォッチのひとつであり、素晴らしいカスタムカットのラバーストラップとデプロイヤントクラスプを備える。ケースの厚さは10.2mmとスリムで、2時から8時までの対角線幅は40.8mmである。また、ラグは手首を包み込むように下がっている。しかしゴールドにすると、時計の上部が重く感じられるようになる。これはブレスレットではなく、ストラップを採用した貴金属製スポーツウォッチの多くが抱える問題であり、重いケース素材がバランスを崩してしまうのだ。またパテックは防水性を5164Aの120mから30mに低下させるというより実用的な方法で、この時計のスポーティさを減らした。どちらの金無垢モデルにもシースルーバックが採用されていたが、残念なことに新しい防水性能はアクアノートを水中に持っていくことを少し躊躇させる仕様となった。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
しかし、フィット感やバランスの問題は、新しい文字盤の色と同様に個人の好みである。ロレックスは顧客の好みに合わせて色の選択肢を提供する傾向があるが、パテックはそのような道を選んでいない。彼らは使用する素材に対する自信(顧客の需要を無視してでも)、強いデザインセンスを持っている。何年か静かなリリースが続いたあと、パテックは“カーキ”のアクアノート・トラベルタイムを、WGやもっと大胆なプラチナ製でリリースして、“話題の波”を生み出したかったのではないかと想像していた。しかしパテックが引き続き需要を抑えようとしていることには、おそらく何か意味があるのだろう。5164Aの価格は、小売価格までとはいかないが徐々に下がってきている。

代わりにオパラインブルーグレーの文字盤、アクアノート・エンボス・パターン、WG製ケース、そして998万円(税込)の値札がついたモデルを得た。写真で見た限りでは、ダイヤルがライトブルーすぎて、私のような控えめなものが好きな人には装着できないのではないかと心配だった。長年夢見てきたクラシックな5164Aではないが、実物はより暗く見え、光の加減で変化していた。ということは、幸運にも手に入れることができれば、普段使いとしても活躍できそうだ。

Patek Philippe Aquanaut 5164G
夢のアクアノート・トラベルタイムを手に入れるまでにはもう少しかかりそうだ。これは私が望んでいた時計ではないが、現在手に入るのはこのモデルだ。間違いなく5164Gは、現在13年続いているリファレンスモデル(カタログで最も長命のリファレンスだと思う)として、しばらくは残るだろう。パテックが1年後に新モデルを発表するためだけに、まったく新たなモデルを投入するとは考えにくい。そのあいだ、多くの人々が新しい5164Gを楽しむことになるだろう。ジェームズの言葉を借りれば、これは私が選ぶ最もクールな現代のパテック フィリップである。SS製アクアノート・トラベルタイムの夢を引き続き持っているが、いま必要なのはこの時計である。パテックが私にとっての聖杯を復活させてくれる日のために、もう少しお金を貯めておこう。