今注目しているスモールブランドの新作時計5選

“マイクロブランド”でも何でも呼び方は自由だが、ワールドタイマーからダイバーズウォッチまで、彼らは感動的な時計をつくり上げている。

2017年、私はシカゴのダウンタウンから電車に乗って北へ30分ほど行き、自分にとって初めての“マイクロブランド”ウォッチであるオーク&オスカーの新作、“オルムステッド”を購入した。12月のシカゴらしい寒くてどんよりとした日で、オーク&オスカーの狭苦しい本社に座り、ウィスキーを片手にふたりのチームとおしゃべりしながら、新しい時計のブレスレットのサイズを調整してもらっていたのを覚えている。

あれはもうかなり前のことだが、今でもこの時計がスモールブランドやマイクロブランドの魅力を象徴しているように思える。そのあとこの市場は拡大の一途をたどり、すべてを追いかけるのがほぼ不可能になっている。こうしたブランドの優れたデザインや仕様の時計を見かけない日はほとんどない。

過去20~30年のあいだに、これらマイクロブランドは、グローバルなサプライチェーン(多くは中国で製造されるが、必ずしもそうとは限らない)を活用し、小売チャネルを介さずにオンラインで消費者に直接販売する手法や、セリタやミヨタ製の手ごろで手に入れやすいムーブメントを使うことで成熟してきた。多くは少量生産や予約注文モデルで展開されており、このような要因によって、熱心な愛好家から手っ取り早く稼ぎたいと考える人まで、誰もが時計を製造し販売できる環境が整っている。優れたブランドは興味深く革新的なデザインを生み出し、そのなかには技術革新も増えつつある。

ロリエ、 エコ/ネイトラ、マリンの新製品。
2018年、ジェームズはマイクロブランドの台頭について記事を書き、レイヴン、ハリオス、アウトドローモといった第1世代のパイオニアたちを取り上げた。
「品質や誠実さよりも、新しさや安さに対する傾向がある」と、アウトドローモのブラッドリー・プライス(Bradley Price)氏は当時語った。「その巻き添えで、一部の時計バイヤーの頭のなかで、スモールブランドがひとまとめにされてしまうが、実際はもっと複雑だ」

新しいブランドがほかのブランドの消滅とほぼ同時に現れるような状況は、今でも変わっていないと言えるだろう。

数年後、ローガン・ベイカーは、前述の要因を巧みに利用し続ける時計製造における新たな“ミドルクラス”についての記事を執筆した。米国(ブリュー、モンタ)をはじめ、英国(フェラー、アンオーダイン)、東南アジア(ミン、ゼロス)、そのほか各地で、こうしたブランドはしばしばワクワクするような時計をつくり出しており、多くが成功を収めている。少なくとも数社が、年間売上高が1000万ドル(日本円で約15億3410万円)を超えていると話している。

これらスモールブランドは多くの場合、大手の伝統的なブランドが作れない(またはつくろうとしない)時計を製造している。これは、愛好家による愛好家のための時計であり、大抵は少人数のチームが運営全体を支えている。そうしたブランドが集まる場に、私はいまだに刺激を感じている。先週、ニューヨークで開催されたWindup Watch Fair(ワインドアップ・ウォッチ・フェア)を見て回り、いくつかのブランドに感銘を受けたため、ここで私のお気に入りを5つ(プラスおまけでもうひとつ)紹介しよう。

少なくともそのうちのいくつかは実際に試す予定だ。とくにもっと見たい時計があればコメントで教えて欲しい。また、私が見逃しているスモールブランドやマイクロブランドがあれば(おそらくたくさんあるだろう)それも教えて欲しい。

ロリエ オリンピア クロノグラフ
ロリエは2017年以降、20世紀半ばのデザインにインスピレーションを受けた手ごろな価格の時計をつくり続けている。このニューヨークのブランドの最新作は、1960年代の伝統的なレーシングクロノグラフを現代風にアレンジしたオリンピアだ。オリンピアにはどこか懐かしいデザインの趣があるが、ソフトなレッドとブルーのアクセントが今っぽさを加えている。これはある特定の時計へのオマージュではなく、1960年代という時代そのものへのオマージュだ。この種の時計でありがちな“本物が欲しくなる”ということも、ロリエ オリンピアには当てはまらない。このスタイルはそれ自体で十分に満足感を与えてくれる。

私の6.3インチ(約16cm)の手首に装着したロリエ オリンピア クロノグラフ。

オリンピアの316Lステンレススティール製ケースは39mm×13.8mm(ラグからラグまで46mm)で、その厚みのうち2mmはドーム型のヘサライト風防によるものだ。セイコーのNE88自動巻きムーブメントを搭載し、ねじ込み式リューズにより50mの防水性を備えている。短時間ではあったが、ワインドアップの際ロリエに話を聞いたところ、以前のクロノグラフに使用されていたシーガル製ムーブメントに比べ大幅に改善されたとのことだ。

オリンピア クロノグラフの価格は900ドル(日本円で約14万円)だが、そのフィット感と仕上げは非常に印象的だ。しっかりしたエンドリンク、ネジで固定されたブレスレットリンクを備え、ブレスレットは手首に自然に馴染む。クロノグラフのプッシュボタンの操作感も満足できるもので、触感がしっかり伝わる。コラムホイールの垂直クラッチに期待される通りかもしれないが、この価格帯での提供はうれしい驚きだ。

ソーシャルメディアへの投稿は控えめだが、ロリエは製品そのもので語らせ続けており、それがこのブランドで私が最も気に入っている点だ。

マリン インストルメンツ スキンダイバー OS “ポーラー”
ニューメキシコ州のデザイナー、ジャスティン・ウォルターズ(Justin Walters)氏は、2021年にマリン インストルメンツを創業した。多くのマイクロブランドと同様に、マリンもミッドセンチュリーの時計からインスピレーションを受けているが、ほかのブランドよりもモダンな印象を与える。マリンのスキンダイバーはウェットスーツを着用せずに潜水するために設計された、60年代の時計にヒントを得ているが、そのデザインはクリーンで現代的だ。エルジンやウォルサムに通じる一方で、アップルやノモスのような雰囲気もある。

スキンダイバー OS “ポーラー”は、ブラックPVDコーティングが施されたベゼルと、オレンジの先端が特徴的な秒針に対して、真っ白なダイヤルが強いコントラストを成しており、有名な“ポーラー”ウォッチをさりげなく意識していることは間違いない。サテン仕上げのSS製ケースのサイズは39mm×11.5mm(ラグからラグまで48mm)で、手首につけるとやや平らな印象を受けるが、これは伝統的なスキンダイバーの形状を踏まえれば予想どおりだろう。内部には標準的なセリタ製の自動巻きSW200-1ムーブメントが搭載されている。ポーラースキンダイバーはブラックラバーストラップ付きで販売され、さらに追加でNATOスタイルのストラップが付属している(個人的にはマリンのビーズ・オブ・ライスブレスレットに装着してもいいと思う)。この丈夫でしっかりとつくられた時計は1095ドル(日本円で約17万円)で手に入る。なおマリンのウェブサイトで直接購入できるほか、オンライン小売業者のハックベリーでも取り扱いがある。

ボーナスピック: アルテラム ワールドタイマー
ボーナスピック! 2022年にHODINKEEが初めてマリン インストルメンツを取り上げた際、私はすぐにこのブランドのデザインに引かれたため、創業者ジャスティン・ウォルターズ氏が新たに立ち上げた別ブランド、アルテラム・ウォッチ・カンパニーの存在を知り、とても興奮した。アルテラムはデビュー作として“ワールドタイマー”を発表したばかりだ。この時計は、世界を旅するための複雑な機構をミニマルかつ無骨なデザインで表現している。

アルテラムのワールドタイマーは、ブラスト仕上げとサテン仕上げが施された38.5mm×10.5mmのSS製ケース&ブレスレットを特徴としている。ワールドタイム機能にはセリタSW330-2 GMT自動巻きムーブメントが採用され、ウォルターズ氏はスイスのメーカー、ロベンタヘネックスと提携してこのワールドタイマーを製作した。初回生産は100本限定で、価格は2850スイスフラン(日本円で約50万円)。時・分“針”は回転ディスクに固定され、外周リングの回転ワールドタイムディスクは、2時位置の追加リューズで操作できる。

アトリエ・ウェン パーセプション(チタンまたはタンタル製)
タンタル製パーセプション。

私がアトリエ・ウェンのパーセプションを初めて体験したのは2022年のことで、そのころ、この誇り高き“メイド・イン・チャイナ”ブランドがHODINKEEで紹介された。ブレスレット一体型のこの時計は、当時優れていたものの、まだ改良の余地があった。つまりそのレビューでは腕毛が少々犠牲になったわけだ。

それ以降、このブランドは大きな進化を遂げてきた。今年、チタン製パーセプションの標準生産バージョンが発表された。パーセプションのストーリーはそのギヨシェ模様の文字盤から始まる。最近、職人がこれらの文字盤を仕上げるのにどれほどの時間がかかるのかについて、ソーシャルメディアで議論が巻き起こったが、その美しさは否定できない。特にパープルダイヤルは際立っている。

文字盤の仕上げに加え、アトリエ・ウェンはパーセプションのラインにチタンとタンタルを加えた。タンタルのブレスレットをつくるのは容易ではないため、これは目覚ましい進歩と言える。重厚な金属を手にしたとき、その技術の成果を実感できる。

「タンタルは粘着性が高く、工具がすぐに壊れてしまうんです」と、アトリエ・ウェンの共同創業者であるロビン・タレンディエ(Robin Tallendier)氏が説明してくれた。「タンタルを磨いたりサテン仕上げにしたりすると、工具が傷んでしまいます。特に難しいのが穴開けで、ブレスレットをつくるには避けて通れない工程です」

チタン製パーセプションも、より高価なチタン製スポーツウォッチに匹敵する仕上がりで侮れない。アトリエ・ウェンはチタン製パーセプション(3588ドル、日本円で約55万円)の予約注文を締め切ったばかりだが、まもなくタンタルモデルの少量生産が開始され、さらにコラボレーションも計画されている。

ノモス グラスヒュッテ ラドウィッグ ネオマティックが登場。

時計ブランドが慈善団体と“コラボレーション”することはよくあるが、総額や影響についての詳細があいまいで単発の取り組みに対しては懐疑的になるだろう。しかしノモス グラスヒュッテと人道支援団体・国境なき医師団とのパートナーシップは、13年以上にわたって続く息の長いものだ。同ブランドはこの取り組みを通じてこれまでに130万ユーロ以上を集めたことを誇りを持って伝えている。これらの寄付金は、特別に製作された限定エディションシリーズによって実現されたものである。

今回ノモスは国境なき医師団のためにさらなる資金を集めるべく、新たにラドウィッグ ネオマティックの限定モデル2種類を発表した。これにより、12万5000ユーロ(日本円で約2000万円)を“Ärzte ohne Grenzen(ドイツ語で国境なき医師団を意味する)”に寄付する計画だ。このラドウィッグ ネオマティック(ネオマティックは自動巻きムーブメントを示す名称)は、38.5mmと36.4mmの2種類のケースサイズで展開し、どちらも自社製自動巻きムーブメントDUW 3001を搭載している。

このムーブメントはハック機能に加え、ノモス独自のスウィングシステムや焼き戻し処理された青色のヒゲゼンマイを特徴としている。さらにすべてのノモスの時計同様、価格帯を超えた美しい仕上げが施されている。パワーリザーブは43時間で、ケース厚はわずか7mmというコンパクトなデザインだ。

デザイン面では、これまでの国境なき医師団エディション同様に比較的控えめなアプローチを踏襲している。ダイヤルは艶やかなエナメルホワイト仕上げ(本物のエナメルではない)で、細長いローマ数字が並ぶラドウィッグならではのデザインだ。このエディション最大の特徴は、文字盤上の鮮やかな赤い“12”(ラドウィッグの場合はXII)であり、白いダイヤルとのコントラストが際立つ。これは控えめながらも力強いアクセントで、時計愛好家だけが気づくポイントと言えるだろう。針はダイヤル上のフォント同様に艶やかなブラックで仕上げられているが、“Neomatik”のロゴは金属的なゴールドカラーで配置されている。

ダイヤルのミニッツトラックの下部には“Ärzte ohne Grenzen”の文字が印字されており、団体への敬意を表すと同時に、この時計がドイツ製であることを示す細やかな配慮が感じられる。両モデルともブラックのホーウィン社製シェルコードバンストラップが装着され、各250本限定で販売される。36.4mmモデルの価格は58万9600円(税込)、38.5mmモデルは62万7000円(税込)である。

我々の考え
このモデルはノモスにとって特に革新的なものではないかもしれないが、文字どおり素晴らしい目的のために作られており、両者の関係がこれほど長く続いていることも喜ばしい。時計業界において、ブランドと近い団体のために安定した形で資金を集める取り組みを維持しながら、メディアの注目を狙った派手な宣伝や過剰なキャンペーンに頼らないのは非常にユニークな試みだ。過去のエディションも確実に売り切れてきたようなので、今回のモデルも同様の結果を期待できるだろう。私としてはブランドがこの枠組みを守り続けながら、一体どれほど多くのモデルをリリースし続けられるのかが気になるところだ。

Top Red Roman Numeral up close
Bottom Dial Signature
Dial Closeup
 製品の観点から見れば、国境なき医師団エディションのデザインスキームにラドウィッグを採用するのは自然な選択だったように思える。ラドウィッグのエナメルホワイトモデルは、クラシックなローマ数字が真っ白な文字盤に映えるデザインで個人的にもお気に入りだ。このモデルでは赤く着色されたローマ数字のアクセントが視覚的なアクセントとなっており、とてもよく機能していると感じる。そしてノモスのネオマティックモデルについて、(引き続き主張し続けたいことだが)印象的なスペックを持つムーブメントの仕上げや寸法は依然として称賛に値する。今後もこの路線を続けて欲しいと思う。

基本情報
ブランド: ノモス グラスヒュッテ(Nomos Glashütte)
モデル名: ラドウィッグ ネオマティック 国境なき医師団エディション(Ludwig neomatik – Ärzte ohne Grenzen)
型番: 282.S2; 250.S2

直径: 36.5mm/38.5mm
厚さ: 7mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: エナメルホワイト
インデックス: プリント
夜光: なし
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: ホーウィン社製シェルコードバンブラックストラップ

ゼニス × レボリューション 、わずか55gの軽量ハイパフォーマンスモデルだ。

軽量なクロノグラフウォッチを求めているなら、ゼニスとレボリューションがてがけたクロノマスター リバイバルの最軽量モデル“カバーガール カーボン”をチェックすべきだろう。ベルクロストラップ仕様のより手ごろなバージョンと、フルカーボン製のゲイ・フレアースタイルのブレスレットを備えた2種類が用意されており、重量はそれぞれ55gと59gとなっている。クロノグラフとしては驚くほど軽量で、ゼニスとレボリューションによるこの最新コラボレーションは、ルックスも非常に魅力的だ。

Revolution
本作はゼニスの歴史をまとめたマンフレッド・ロスラー(Manfred Rossler)の著書の表紙を飾ったA384をベースとする“カバーガール”リバイバルのデザインを踏襲しながら、素材に高弾性カーボンファイバーを採用している。これはロードバイクや自動車をはじめとするさまざまな分野で性能の向上をもたらした素材であり、具体的にはマクラーレン F1 GTRロングテール、RUF SCR、シンガーによるポルシェ911のプロジェクトが例として挙げられる。

ケースは航空宇宙産業向けのカーボンブロックを使用し、ゼニスがCNC加工によって直径37mm × 厚さ12.5mmのケースへと仕上げている。2020年に発表されたスティールモデルと比較すると重量は半分になり、2022年のチタンモデルからは23.2gの軽量化が実現している。

Zenith x Revolution Chronomaster Revival A3818 ‘Cover Girl Carbon’
文字盤もマットブラックのカーボンファイバー製で、“シャークトゥース”デザインのクロノグラスケールの外周にはパルスメーターとタキメーターが組み込まれている。さらにインデックスやクロノグラフスケール、針にはスーパールミノバが塗布され、強調されるとともに視認性が高められている。そしてムーブメントには、3万6000振動/時で作動し、約50時間のパワーリザーブを備えた高振動の自動巻きエル・プリメロ キャリバー400を搭載した。

機能としては、時・分・秒表示、デイト表示、30分積算計、12時間積算計を装備。価格はベルクロストラップ仕様(編注;これにはブラックのエンボスラダー・エフェクトカーフレザーストラップが付属)が176万円(税込)で限定150本。カーボンファイバー製のブレスレット仕様を希望する場合、2万7210ドル(日本円で約412万円)を用意する必要があるが、こちらはわずか10本のみの限定生産となる。

Zenith x Revolution Chronomaster Revival A3818 ‘Cover Girl Carbon’
我々の考え
よく知られているとおりオールブラックまたはブラックケースの時計に対する私のこだわりはひとしおで、この新作に強く引かれるのも当然だろう。確かに、2万7000ドルという価格はゼニスのリバイバルシリーズとしては高額だが、フルカーボン製のブレスレットが選択肢として登場すること自体が極めて珍しい。さらにレボリューションによれば、これ以上手ごろな価格でブレスレットを製造することは不可能だったとのことで、それゆえに生産本数が非常に限られているのも納得できる。このゲイ・フレアー風のラダーブレスレットは、カーボンファイバー製のG-SHOCKのように極めて頑丈なデザインとは言えないが、見た目の美しさは際立っている。

Zenith x Revolution Chronomaster Revival A3818 ‘Cover Girl Carbon’
リバイバル シャドウにも興味を持っていたが、今回のカーボン仕様はより完成度の高い仕上がりになっている。特に、ダイヤルに施されたホワイトプリントとカーボンケースの色調のコントラストが、従来のデザイン言語をさらに洗練されたものへと押し上げているのだ。全体の調和が取れており、視覚的にも非常に魅力的な1本に仕上がった。いつかこのブレスレット仕様を実際に着用している人に出会い、その全体のバランスを直に確かめてみたいものだ。

基本情報
ブランド: ゼニス×レボリューション
モデル: クロノマスター リバイバル A3818 カーボン カバーガール

直径: 37mm
厚さ: 12.5mm
ケース素材: 高弾性カーボンファイバー
文字盤色: マットブラックのカーボンファイバー製
インデックス: “シャークトゥース”のクロノグラフスケール、外周にはパルスメーターとタキメーターを統合
夜光: スーパールミノバを塗布した針、インデックス、クロノグラフスケール
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ブラックカーボン・エフェクトベルクロストラップ(ブラックのエンボスラダー・エフェクトカーフレザーストラップが付属)、またはゲイ・フレアースタイルのラダー型カーボンファイバー製ブレスレット

porsche design
porsche design
ムーブメント情報
キャリバー: エル・プリメロ Cal.400
機能: 時・分・秒表示、デイト表示、60分積算計と12時間積算計を備えたクロノグラフ
パワーリザーブ: 50m
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
追加情報: 総重量は55g(ベルクロストラップ装着時)、ケースバックとムーブメントリングはブラックのグレード5チタン製

ジェームズ・ステイシーと長く一緒にいると、自然とドクサのファンになってしまうものだ。

正直に言うと自分は以前からサブ300 カーボンに特別な思い入れがあり、とくに全面夜光ダイヤルを備えた“ホワイトパール”が好きだった。そんななか、今月初めにジュネーブでドクサの今後の新作をいくつか事前に見せてもらう機会があり、とりわけ発売されたばかりのサブ 250T GMTに加わった2本の新作に目を引かれた。それが、フロリダはネイプルズの時計店、エクスクイジト タイムピーシーズ(Exquisite Timepieces)のために製作された限定カラー“ガルフショア”と“アフターグロウ”である。

初回の9色展開から1ヵ月も経たずに限定モデルが登場するというのは、なかなか興味深い現象だ。しかしこれらのカラーはレギュラーラインとは明らかに趣が異なり、各色50本という非常に限られた製造数にも頷ける。どちらのカラーもフロリダ西岸のガルフコーストに着想を得ており、その海の色合いや夕焼けの美しさがデザインに巧みに落とし込まれている。

Doxa Gulfshore Sub 250T
Dive Clasp
Case Side
これらはあくまで新色の展開に過ぎないため、それ以外の仕様はレギュラーラインのサブ 250T GMTと変わらない。クッション型のステンレススティールケースは直径40mm、厚さ10.85mm、ラグ・トゥ・ラグの長さは42.9mmとコンパクトだ。見た目には存在感があるケースだが、ラグが非常に短いため装着感は良好で、細い手首にもよくなじむ。ガルフショアとアフターグロウには、ステンレススティール製のライスビーズブレスレットが標準装備されており、ラバーストラップはない。また、ボックスにはワンピースタイプのファブリックストラップも同梱されている。モデル名からも推察されるように、このケースは250mの防水性能を備える。

ムーブメントにはセリタ製のSW330-2を搭載。いわゆる“Caller”タイプのGMTムーブメントであり、リューズを1段引くことでローカルタイムではなくGMT針を単独で操作できる設計となっている。この自動巻きムーブメントは約50時間のパワーリザーブと2万8800振動/時の精度を誇る。

Dial Macro
Bracelet beads of rice
この2本の新色は、1970年代のドクサ サブ 200に見られたレディスモデル“コーラルピンク”にオマージュを捧げている点が特徴だ。とくに“ガルフショア”はやや広い層に訴求しそうな1本で、マットなブルーダイヤルにホワイトと、ブランドが“コララインオレンジ”と呼ぶアクセントカラーが組み合わされている。このブルーは現在カタログに掲載されているカリビアンブルーよりも明るめのトーンで、コララインオレンジとの相性も非常によい。見る角度や光によって淡いオレンジに見えたり、コーラルピンクに見えたりするこのトリッキーなカラーは、ダイヤル上でもバランスよく配置されており、逆回転防止ベゼルのインデックスやねじ込み式リューズの刻印に使われているのも粋な演出だ。ほかの250Tのバリエーションと同様、GMT針はスケルトン仕様でフランジの24時間スケールに届くロングサイズとなっている。

ピンクのトーンをさらに強調したのがサブ250T アフターグロウで、こちらはメタリックなサンレイ仕上げのピンクダイヤルを採用している。明るくポジティブな印象の1本で、ホワイトのアクセントがよく映える(コララインオレンジはベゼルとリューズのみに控えめに使われている)。このモデルにメタリックの針を採用したことで、ツールウォッチ然とした雰囲気はやや薄れたが、明るいダイヤルが強い光のもとで飛んでしまうのを防ぐ役割を果たしており、視認性はしっかりと保たれている。正直に言ってしまえば、これは自分にとってちょっと気恥ずかしいけどなぜか引かれてしまうダイバーズウォッチかもしれない。これほど実用的なダイバーズデザインに、これほど鮮やかなピンクを掛け合わせるとは──そんなギャップこそが、なんとも楽しいのだ。

Rehaut of afterglow 250T
ガルフショアとアフターグロウ、いずれのサブ 250Tも価格は2790ドル(日本円で約40万円)で、それぞれ50本の限定生産となる。付属品としてファブリックストラップが追加されているとはいえ、先日発売されたばかりの標準仕様のサブ 250Tよりも340ドル(日本円で約5万円)高い設定だ。この価格差は、200T(時・分表示のみのモデル)と比べてもすでにプレミアムな位置づけとなっている250Tにおいて、唯一気になる点かもしれない。ただしドクサのファンやエクスクイジト タイムピーシーズの顧客にとっては、彩り豊かで楽しいダイヤルを持つ少数限定モデルという点で、十分に納得できる価格と言えるのではないだろうか。

チューダーからペラゴス FXD クロノ “ピンク” ジロ・デ・イタリア 2025 エディションが登場

わずか1週間前、F1をテーマにしたカーボンファイバー製のブラックベイ “クロノ 25”をリリースしたばかりのチューダー。このタイミングで、さらにもうひとつの新しいカーボン製クロノグラフウォッチを投入してきた。今回はサイクリング仕様で、ジロ・デ・イタリアの公式タイムキーパーとしての役割を記念したモデルだ。その名もペラゴス FXD クロノ “ピンク”である。このモデルは昨年のイベント開催前に発表されたペラゴス FXD クロノ “サイクリング”エディション”のカラーバリエーションにあたる。前モデルはチューダー・プロサイクリングチームの赤と黒のカラーリングを反映していたが、この新作はイタリアで開催されるグランツールのリーダー、および優勝者が着用するピンクジャージ(マリア・ローザ / Maglia Rosa)に敬意を表したデザインとなっている。

tudor fxd chrono pink
チューダースーパーコピー時計 激安本作の“ピンク”は、サイクリング向けに特化したタキメータースケールがローズカラーになっている点が特徴だ。また、同じピンクのストライプが施されたブラックのファブリックストラップも目を引く要素である。チューダーによれば、この43mm径のカーボンコンポジットケースのモデルは固定ラグ構造を採用しており、ねじ込み式リューズとプッシャーにはチタンが使われている。これにより、強度と耐久性が向上。ケースの厚さは13.2mmで、裏蓋の刻印はサイクリングとのつながりを強調するものとなっている。

 文字盤はマットなブラックダイヤルで、チューダーの特徴であるスノーフレーク型の時針とスクエア型の夜光インデックスを配置。60分計測の固定ベゼルと45分のサブダイヤルも備えている。この“ピンク”がサイクリング専用である理由は、タキメータースケールにある。通常のモータースポーツ用ではなく、文字盤の外周に円形で配置され、サイクリングの速度計測に最適化されている。これにより、一定の距離を走行した際のペダルの回転速度を計算することが可能だ。

tudor fxd chrono pink
 チューダー MT5813 クロノグラフキャリバーを搭載する本作は、70時間のパワーリザーブを持ち、2万8800振動/時で駆動。さらにCOSC認定も受けている。生産数は300本限定で、価格は5600ドル(日本円で約81万円)と発表されている。

我々の考え
サイクリング専用の時計は、時計業界では比較的新しいカテゴリーである。というのも、これまでプロのサイクリストはレース中の時計着用を避けるのが一般的だった。しかし近年ではペロトン(集団走行)内で時計を身につけるライダーが増え、ヨーロッパのスポーツカレンダーの定番であるこの競技にますます多くの時計ブランドが参入している。チューダーもまた、この動きのなかで急速に存在感を高めている。特にファビアン・カンチェラーラ(Fabian Cancellara)がオーナーを務めるチューダー・プロサイクリングチームのスポンサーとして、今年も多くの勝利を重ねているのだ。この夏、チューダーのチームはワイルドカード枠で初めてツール・ド・フランスに出場する予定である。

tudor fxd chrono pink
 現在、ツール・ド・フランスのリーダーおよび優勝者はスウォッチグループ傘下のティソがスポンサーを務めており、伝統的なイエロージャージを着用している。一方、ジロ・デ・イタリアをテーマにした新しいチューダー “ピンク”はそれとは対照的な色合いとなっている。ストラップや一部のピンクアクセントを除けば、今回の限定モデルは昨年のジロ・デ・イタリアの優勝者であり、リシャール・ミルがスポンサーを務めるタデイ・ポガチャル(Tadej Pogacar)に贈られた特別仕様のワンオフモデルに非常によく似ている。ポガチャルはイタリアの最高峰のサイクリングレースでの過酷な勝利の報酬として、この時計を受け取った。

 新しいカラーリングとジロ・デ・イタリアとの関連は、この“ピンク”に新たなクールな魅力を与えていることは間違いない。そして、今やこのピンクの色合いは多くの時計愛好家のあいだでトレンドになりつつある。思い返せば、昨年リリースされたブラックベイ クロノグラフのピンクダイヤルモデルは限定生産だったこともあり、中古市場で価格が急騰していた。チューダーは今回の最新の限定モデルでも、同様の盛り上がりを期待しているのかもしれない。

tudor fxd chrono pink
基本情報
ブランド: チューダー(Tudor)
モデル名: ペラゴス FXD クロノ “ピンク”(Pelagos FXD Chrono “Pink”)
型番: 25827KNRS

直径: 43mm
厚さ: 13.2mm
ケース素材: ブラックカーボンコンポジット
文字盤色: ブラックにピンクのアクセント
インデックス: 夜光を施したアプライドインデックス
防水性能: 100m (330ft)
ストラップ/ブレスレット: 引き通しタイプのブラックファブリックストラップ(ピンクのストライプ入り)

ムーブメント情報
キャリバー: 自社製 MT5813
機能: 時・分・秒表示、日付表示、45分積算計付きクロノグラフ
パワーリザーブ: 70時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター認定: あり