オーリスのコレクションにおいて、最も重要な位置を占めるのが「パイロットウォッチ(飛行時計)」です。
現在のラインナップでは、ビッグクラウン(大表冠)シリーズ、現代的なPRO PILOT(プロパイロット)シリーズ、そして自社ムーブメントを搭載するPRO PILOT X(PPX)シリーズがその中心を成しています。
その中でも、今回は「現代的なデザイン」と「リーズナブルな価格」で多くの支持を集める「PRO PILOT(プロパイロット)」が、2025年限定で大幅にアップデートされました。
先日終了したドバイウォッチウィークでの発表を受けて、新作のディテールを詳しく見ていきましょう。
🎨 1. 外観:一新された「粒状紋様」と「立体インデックス」
今回のモデルチェンジで最も目を引くのは、文字盤(ダイヤル)の質感の変化です。
粒状紋様(グレイン): これまでのサンレイ(太陽)紋ではなく、「空港の滑走路や格納庫の床」を連想させる、やや荒い粒状の紋様が採用されました。これは光の乱反射を抑え、視認性を高めるだけでなく、飛行時計としての「タフさ」を象徴しています。
立体時刻表示: インデックス(時標)は立体的になり、サイドには垂直のヘアライン仕上げが施されています。これは、針の質感と呼応するデザインです。
カラーバリエーション: クラシックな「ブラック」、ミリタリーテイストな「オリーブグリーン」、シックな「グレー」に加え、「デザートカラー(砂漠色)」の特別仕様も登場。いずれも低彩度の色調で、パイロットジャケットとの相性は抜群です。
⚙️ 2. ケース:PPX譲りの「薄型化」と「シャープな造形」
ケースデザインにも、オーリスのフラッグシップモデル「PPX」のエッセンスが注がれています。
薄型化: 厚さは従来モデルの12.4mmから11.7mmへと大幅にスリム化。腕へのフィット感が格段に向上し、長時間の着用でも疲れにくくなりました。
シャープなライン: ケースとベゼルの境目に、PPXでお馴染みの「切り欠き(シャープなエッジ)」が採用されています。これにより、横から見た時の存在感が増し、スポーティーな印象に。
ベゼル: ジェットエンジンのタービンをモチーフにした「ローレット(溝付き)」ベゼルは健在。滑り止め効果も高く、操作性は抜群です。
🦅 3. 機能:実用性を高めた「細部のこだわり」
オーリスらしく、実際の使用を想定した細かい配慮も見逃せません。
大型クラウン(大表冠): 1938年からの伝統である大型リューズ。手袋をしたままでも操作しやすいこのデザインは、プロパイロットシリーズのアイデンティティです。
LIFTフォールドクロージャー: ベルトの留め具(クラスプ)には、オーリスが特許を持つ「LIFT」機構を採用。この機構により、留め具の開閉が非常にスムーズに行えます。
裏蓋: サファイアクリスタルのスケルトンバック。裏蓋サイドにもベゼルと同じくローレット加工が施され、デザインの統一感があります。
⚙️ 4. ムーブメント:定評ある「Cal. 733」
裏蓋から見えるのは、オーリスの定番ムーブメント、「Cal. 733」です。
ベース: 定評あるSellita(セリタ)SW200-1をベースに、オーリスが独自にチューニング。
特徴: 見た目の特徴である「真っ赤な自動巻きローター(摆陀)」は健在。
性能向上: 2024年以降のバージョンでは、動力貯蔵が従来の38時間から41時間に向上しています。これは一見小さな差に見えますが、数十年使われている定番ムーブメントに対して、メーカーが細かな改良を続けているという点に、オーリスの誠実さが表れています。
💰 5. 価格と総括
表格
項目 詳細
モデル名 オーリス PRO PILOT (2025年新作)
ケース径 41mm
ムーブメント Cal. 733 (41時間動力)
防水 100m
参考価格 皮バンド:約17,200円 / メタルブレス:約19,800円
📝 なぜこの時計が「買い」なのか?
今回のPRO PILOTは、「PPXの質感を、より手頃な価格で」という、オーリスの想いが強く込められたモデルです。
「PPXが気に入るけど、価格がちょっと…」という方。
「日常使いの、飽きのこない頑丈な時計」を探している方。
41mmという絶妙なサイズ感と、11.7mmの薄さ、そして赤いローターを覗かせる裏蓋。これらの要素が、2025年のオーリスの「ベーシックモデル」を、決して地味ではなく、「むしろ注目度の高い」一本に仕立て上げています。